「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 玉座にいるアデルモも、わたしたち同様その異様な姿形(なり)にのまれている。

 だいたい、アデルモが玉座にいることもおかしい気がする。彼の周囲が「大広間に迎えた方が」と最後まで進言したにもかかわらず、彼は玉座について迎えると譲らなかった。

 竜帝は、軍こそ王都外に待機させている。だから、彼の気持ひとつですぐにでも攻め入らせることが出来る。王都を守る守備隊に、それをとどめる力はない。

 この大陸で最弱のアロイージ王国軍が、この大陸で最強と名高いバリオーニ帝国軍に勝てるわけがないのである。

 というよりかは、そもそもこちらが協定を破ったのである。こちらが悪いのに、玉座から見下ろそうという。

 よくもそんな気持ちになれるものだわ。

 プライドだけはムダに高いアデルモらしい。

 正直、わたしから言わせればそんなプライドは愚かでしかないんだけど。

 それにしても、竜帝はすごいわよね。

 敵ではないけれど、充分敵になりえる状況の中、親衛隊、それとも近衛隊かしら。とにかく、二十名ほどだけ連れ、堂々とここにやって来たんだから。
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