「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 自分のドレスを見下ろした。

 所持する数少ないドレスの中でも一番マシなものにした。

 そんなどうでもいいことをかんがえている内に、アデルモがおざなりに名乗った。

 だけど、竜帝は無言である。ただ、そこに佇立している。

「そちらも道中を急ぐだろうから、さっさと終わらせよう」

 アデルモは、いかにも迷惑そうに切り出した。

「さっさと終わらせよう」って、どういう意味?

 なにか用事があるとすれば、あなたじゃなく竜帝の方じゃないの?

 なに様って感じよね。
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