「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
「お兄様、デボラの誕生日パーティーに誘われているでしょう?」
「そういえば、そうだったな」
「ナオも誘われたのよ」

 彼女はそう切り出し、先程のお茶会の様子を伝えた。

「なるほど。それはデボラの意地悪が炸裂って感じだな」
「そうなのよね。そうだわ。三人で行きましょうよ。お兄様も誘われているから、二人で行くつもりだったの。どうせなら、三人で行って美味しものを食べながら盛り上がりましょう」
「それはいい。両手に花というやつだ」
「お兄様を間にはさんではしゃぎまくるのよ。すくなくとも、ナオはそれで体裁が整うわ」
「でも……」

 いくらなんでも、それではバルナバだけでなくエルマにも申し訳ない。
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