「役立たず聖女」だからと捨てられた私を拾って溺愛し大切にしてくれたのは、大国の冷酷非情な竜帝でした~真の聖女の加護の力が失われたと気がついても手遅れですし、助けるつもりはありません~
 その後、エルマの愛馬を見せてもらった。

 白一色の牝馬で、ローザ・ビアンカという名前である。

 それはもう美しい馬で、白いバラという名前がピッタリ。

 鬣を編んでいるのが可愛らしい。

 あいにくわたしがドレスだったので、ルーポに乗ることは出来ずに彼を紹介するにとどめた。

 エルマは馬場でローザに乗り、バルナバと二人でそれを眺めた。

 バルナバのエルマへの愛が止まらない。ずっと称讃したり揶揄ったりしている。

 近くで作業をしている厩舎の責任者のガリレオや厩務員たちは、そんな様子は慣れっこに違いない。

 にこやかに見守っている。

 バルナバほどではないにしろ、気にかけてくれるお兄様、というよりかは家族がいてくれればよかったのに。

 などと、いまさら思っても仕方がないわよね。

 だけど、これからは違う。

 気にかけてくれる友人が出来たんだし、そういう人たちを想い、大切にしよう。

 エルマのきれいな乗馬フォームを見つつ、そう誓った。
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