闇が渦巻く世界の果てで

「え……仁……?」

かりんちゃんもかなり動揺しているように見える。

「かりんさ、学級委員以前に人として最低だわ。幻滅した」

低い声でそう言う仁は、いつもと別人に見えた。冷たい瞳でかりんちゃんを見ている仁は、本気でかりんちゃんを軽蔑していた。

「尋が、ゆかさんが、力を持ってて何が悪い?」

「何も悪くない」

「2人ともそのせいで大変な思いをしたかもしれない」

「かりんの言葉は人としてありえない」

「本気でそれ言ってるなら、俺は学級委員として一緒に活動してきた仲間を間違ったな」

淡々とそう告げる仁に、かりんは震えていた。ここまで言われるとは思わなかったのだろう。

「きょ、恭は…?も、もちろん私の言ってることわかってくれるよね?」

かりんちゃんは震えながら恭にそう問いかける。その恭も、仁と似たような目をかりんちゃんに向けていた。

「さっきも言っただろ。お前の方が気持ち悪いわ」

「ね、ねぇ‼︎りんは?りんは私とずっと幼馴染だし、私のこと理解してくれるよね⁉︎」

かりんちゃんは、最後の頼みというような感じでりんちゃんにそう問う。りんちゃんはビクッと体を震わせる。最初から思っていたが、りんちゃんは気が弱そうだ。すぐに周りの意見に流されてしまいそうな雰囲気を醸し出している。ただ、今回は違った。

「私は、いくらかりんの言うことでも、今回のことは酷いと思う」

強い意志のこもった目でかりんちゃんを見つめるりんちゃんは、とても堂々としていた。

「ゆかちゃんは、被害者だよ…?今までの…レンさんの、トールさんの、ネロさんの、あの仮面の男の、冷たい瞳を見てきたでしょ?私達を馬鹿にするような目を見てきたでしょ?ゆかちゃんは全く違う。私達と距離を置くのも、わざと、私達を傷つけないようにするタメだったと思う。だって、優しい目をしてるもん。そうやって、気持ち悪いとかで、人を非難しないで」

りんちゃんはそう告げると気まずそうに下を向く。全員に軽蔑されたかりんちゃんは、今にも泣きそうな顔をしていた。

「私は悪くない‼︎」

ブツブツとそう呟いている。悪いことをしたかもしれない。

さっきよりも気まずい空間が流れた。
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