Nice to meet you「Daisy」
「ハァ……」

午後十五時、図書館の片隅で問題集に向き合っていたリオン・フォージャーは、かけているメガネを外し、眉間を揉む。午前中に学校の授業が終わってから、ずっと図書館でひたすら問題集をしていたため、体は凝り、目は疲れてしまっている。

「もうこんな時間か……」

時間というものはあっという間に過ぎていく。一日足りとも無駄にはできない。リオンは体をグッと伸ばし、再び問題集に目を向けた。

リオンの両親は、貧しさから大学に進むことができず、高校を卒業してから苦労をした。そのため、一人息子であるリオンには学歴をつけ、給料が高い医者になることを期待している。そのため、リオンは両親の期待に応えるために勉強に人一倍力を入れていた。

成績が上がったり、テストの順位が上がったりすることは素直に嬉しい。両親も褒めてくれて、リオンの好きな料理を作ってくれたり、ほしかったものを買ってくれたりする。だが、期待されればされるほど、頑張らなくてはという思いに囚われてしまう。
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