若旦那様の憂鬱
「あっ…ヤバい…。」

しばらく、花を抱きしめていた柊生が突然そう言う。

どうしたんだろうと花は顔を上げて、
首を傾げる。

「1番厄介な人の承諾をまだ得ていなかった…。」

あっ…と花も思い至り、
バッと柊生から離れる。

「お、お祖母様?」

渋い顔で柊生が頷く。

「あの人が1番世間体を気にする。
…近いうちに一緒に挨拶に行こう。」

花も心配そうな顔で頷く。

この日のうちに柊生は父に、
花に結婚を承諾してもらった事を伝える。

そして、近いうちに祖母に挨拶に行くと告げる。

父からのアドバイスは
「大安吉日を選びなさい。後は当たって砕けろ。」と言う事だけだった。

砕けちゃ駄目だろ…と、
柊生は思いながら
今夜はとりあえず自宅に帰る。

< 192 / 336 >

この作品をシェア

pagetop