若旦那様の憂鬱
涙がツーっと一筋頬を伝わり落ちる。

慌てて花は外を見て、
これ以上泣かないようにと心を落ち着けようと試みる。

柊生は車を路肩に停めてハザードランプを点ける。
「言った側からそうやって1人で泣いて隠そうとするな。」
柊生は咎めるようにそう言って、
花のシートベルトを外して抱き寄せる。

「泣く事は悪い事じゃ無いんだ。
心を浄化してくれるから、泣きたい時は思いっきり泣いた方がスッキリする。」
そう言って、運転席に花を抱き上げ膝の上に横抱きにする。

ヒックヒックと静かに泣き出した花に安堵し、優しく背中を摩りながら、
「さすがに狭いな…。」
と呟く。

柊生の胸で泣きながら花もつい笑ってしまう。

「次買う車は運転席が広い車にしないとな。
いつ何時花が泣き始めようと、対応出来る様にしないと。」

「…そんな事で、車、乗り換えたりしないでね…。」
目に涙を溜めながら、それでもそう言ってくる花が愛らしい。

ぎゅっと抱きしめしばらくその場で動かずにいた。
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