若旦那様の憂鬱
店を後にして、マンションへ戻る頃には日も昇り蒸し暑さで汗も流れ出る。

家に帰って玄関を開ける。

「お帰りなさい。」

花は朝食の準備でキッチンで忙しく動いていた。

「ただいま。
パン焼き立てだからまだ温かいよ。」
と伝えて花に手渡す。

「ありがとう。暑かったでしょ、お水飲む?」
労い気遣われ、冷たいペットボトルを渡してくれる。

「ありがとう、シャワー浴びて来る。」

ペットボトルを受け取り、
花の頭をポンと触れ、足早に浴室へ向かう。

シャワーを浴びてさっぱりしても、
熱った体は汗がひかず、下だけラフなズボンを履き、肩にタオルをかけてダイニングに戻る。

テーブルには朝食がタイミングよく用意されていた。

「飲み物は何飲む?」 

キッチンから花がそう聞いてくる。
目が合い微笑み、なぜかパッと目を離される。

「俺が入れるよ。花は、オレンジジュース?」

「う、うん…、そ、それより、しゅ、柊君、
シャツ着て。」
慌てて花はバタバタと着替えを取りに行ってしまった。
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