若旦那様の憂鬱

タンクトップで短パンと言う、
それはそれは大胆な格好で無防備に寝ているから、さすがに俺も目のやり場に困る状態で、慌ててタオルケットを持って来てかけてやった。

その瞬間に、
チラッと見えた胸の谷間や、
透き通るほど白い肌に、
ドキンと心拍が乱れ珍しく動揺したのを覚えている。

まだあどけない女の子だと思っていた花が、
急に女性に見えた瞬間だった。

それからの俺は、 
彼女を見るたび正常ではいられなくなって、
愛しさが込み上げるという心情を初めて知った。

当時付き合っていた彼女から、

『貴方は私を抱きながら誰を思ってるの』
と問い詰められた時、ハッとした。

俺はどうしようも無く、花を愛しているんだと。

直ぐに当時の彼女とは分かれ、
出来るだけ花に接点を持たないように、
家を出て一人暮らしを始めた。

そうして過ごしているうちに、
きっと熱は冷めるだろと思っていたのに…

月日が経っても、
思いはもっと増していくばかりで。

彼女もどんどん綺麗になって、

大人になっていく。

それはまるで蕾だった花が、
春が来て咲き始めるように…。

花が咲き誇った時、俺は一体どうなってしまうのだろうか。

愛しさが今日も溢れ出す…。

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