俺様弁護士は激愛を貫きとおす

5.優羽中毒by城ヶ崎

 高校生の時は同じクラスになったことはあるが、接点は特になかった。
 きっと彼女はなんとも思っていなかったと思うけれども、城ケ崎は気になって仕方のない存在だったのだ。

 城ヶ崎は子供の頃から周りに人が絶えない。それはきっと顔立ちのせいもあるだろうし、育ちのせいもあるだろう。
 父はダンディと評判だし、母も美人で有名だ。城ヶ崎家は美形家系である。父の兄弟もみんな端正な顔立ちをしている。

 異性が取り合いになり大変な騒ぎになる、などは城ヶ崎家ではあるあるなのだ。
 親族で集まっても「分かる~」と同情されるくらいだ。
 そんな家系に生まれて周りが美形だらけなので、城ヶ崎自身は子供の頃から自分が端正な顔立ちなのだとは全く思っていなかった。

 それが違うらしいと感じ始めたのは中学に入った頃だが、顕著になったのはやはり高校の頃だろう。
 周りにいるのは城ヶ崎狙いの派手な女子生徒とそれに群がる男子生徒。
 特に気があったわけでもない。

 その中で、同じクラスの吉野優羽は割と大人しい存在で教室でもたまに一人で本を読んでいることがあり、誰かとつるまないと気が済まないというような連中とは違うのだなと目に止まった。

 それでも周りに声をかけられたらそっと本を閉じて楽しそうに笑っていたりする。
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