イケメンエリート、最後の独身


「謙人さん、明けましておめでとうございます」

 年明け早々、出社日の水曜日がやって来た。謙人は元気に挨拶をしてくる明智君に右手を上げて笑って見せる。
 EOCにも世代交代の波が押し寄せていた。凪はアメリカに異動し、映司はここを辞めてイタリアで起業した。ジャスティンはシンガポールに移住してリモートワークでこちらの仕事をこなしている。
 あの頃のメンバーでこのオフィスに残っているのは謙人とトオルだけだ。
 明智君の他にも新しいメンバーが入った。ホヨンという名前の韓国出身の美男子だ。ソフィアが選んだのだから容姿もスキルも超一流に違いないのだけれど、ソフィアの見る目にはいつも感心させられる。
 会社全体がリフレッシュした感じだった。若い子のエネルギーは本当に清々しい。

「謙人さん、いつ見てもセクシーですね」

 韓国のボーイズグループにいそうな彼は曖昧な笑みを浮かべて謙人を見た。
その微笑みは怪しい魅力を放っている。彼もバイがゲイか?どちらかだとは思うけれど、まだ、そんな事を聞ける段階じゃない。

「ホヨン君もね。
今年も一年よろしくお願いします」

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