イケメンエリート、最後の独身

恋のキューピットは迷走中⁈



 今日はトオルが主催した萌絵の歓迎会の日だった。
 この間の件があって以来、謙人は萌絵と少しだけ距離を置いている。
 自分の欲求だけで行動したら、完全なストーカー男になってしまう。萌絵を駅で待ち伏せする事もせず、帰りも遅くまで居残る事もせず、謙人は必死に普通の日常を送っていた。

「トオルさん、今日の歓迎会のメンバーはどうなってるんですか?」

 トオルのブースの前を通りかかった明智君がトオルにそう聞いている。
 謙人は耳を澄ませて二人のやりとりを聞いていた。

「今日のメンバーは、ここにいるいつものメンバーに映司も誘っておいた」

「映司??」

 謙人は静かに聞くはずだったのに、その名前を聞いた途端、大きな声を出してしまった。

「何? 謙人、映司が来ちゃまずいか?」

 何も事情を知らないトオルは、ぶっきらぼうにそう謙人に聞いてくる。

「映司さんがいた方が盛り上がりますよね。
 歓迎会とかイベントが大好きだから」


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