跡取りドクターの長い恋煩い
 「いや、今日は客が来るんだ。
仕込みは昨日のうちにしておいたからそう時間はかからない」

 「え?」

 お客様? それって、もしかして……。

 タラリララーン、タラリララーン

 「あ、来たな」

 ドアホンのモニターに映っているのは、やっぱり瑞穂さんだった。

 「そ、宗司くん、私ここにいていいの?」

 「は? 当たり前だろう? 笑美里も知ってるんだから。
 ――いらっしゃい。5階のエレベーターを降りて右だ!」

 はーい! とモニター越しに声が聞こえる。

 ど、どうしよう?
 本当にここにいていいの?
 修羅場になったりしない?

 昨日絆創膏を渡した後、彼女は意味不明な微笑みを見せ「私達、すぐにまたお会いすることになると思います」と言って去っていった。

 これは宣戦布告? と、いろいろと考えてしまって昨日はなかなか寝付けなかった。

 ピンポーン

 さっきとは違うチャイムが鳴る。
この部屋のチャイムだ。
 宗司くんがドアを開けると、そこに立っていたのは……。
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