跡取りドクターの長い恋煩い
 そのパスタを作ってくれている時だった。
昌宗くんが本棚からシンプルなバインダーのようなものを取ってきた。

 「これ覚えてる?」

 差し出されたそれは、バインダーではなくアルバムだった。

 「あ……」

 それは私たちが小さい頃に出会うきっかけとなった教授の誕生日会の集合写真だった。

しかも、おそらく宗司くんが行き始めた最初から全て揃っている。

 「私も持ってるよ……こんなに全部じゃないけど」

 そうだ、思い出した。この時の写真を宗司くんに見せたくて、あの時部屋に招き入れたんだ。

まだ記憶が曖昧だけど、それは思い出した。
でも見つからなかったんだよね。
宗司くんはちゃんと全てをアルバムに残していたんだわ。

 「俺この頃、ゲームのことしか考えてなったなー。
 でも兄ちゃんはこの頃から世話焼きで、抜け出した笑美里の後を追っていったんだよな。それが運命の転機だな」

 「ふふふ、ミルキーチュー事件よね?
 何度聞いても可愛いお話」

 「え、ちょっと待って!
 それって、私たちのあのチュー事件のこと?
 まさか、全部知っているの⁉」

 「もちろん!
 というか、宗司くんの周りで知らない人はいないと思うけど?
 幸太郎さん夫妻も知ってるはずよ?
あとご両親もね!」

 まさか……あんな恥ずかしいことが知れ渡っていたとは。

 え? 待って待って! これはいったい何⁉

「あ、やべ。これ見せちゃダメなやつだったっけ」

「ちょっと昌宗、宗司くんにバレたらマズくない?」
 
 集合写真のページをめくると、次に現れた写真は――。

 
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