クールな許嫁の甘い独り占め。



「ありがとう、蒼永!すっごく嬉しい!」

「似合ってるよ」

「えへへ」

「それでも咲玖はそのままでもかわいいけどね」


そんなこと言うの蒼永だけだよ…。


「ねぇ、口紅をプレゼントする意味って知ってる?」
「意味?」


きょとんとする私の耳元に蒼永が囁きかける。


「キスで返して」

「……っ!?」


耳元にかかる息とその甘い意味に、私の顔が耳まで真っ赤になったのは言うまでもない。


「何それ…!?」

「咲玖からしてよ」

「わっ私誕生日なんですけどっ!?」

「してほしいってこと?」

「いや、あの……」


そのねだったみたいなのも恥ずかしいんだけど…
しかもこの会話、なんとなくデジャヴだな…。


「わかった!私からします!!目閉じてね!」

「早くしてね」


も〜あの時とは違うんだから!
自分からキスくらいできるもん…!!

なんて心の中で息巻いた私だけど、実際にしたキスは唇に触れたか触れないかという、一瞬のもの。


「…今した?」
「したっ!!」
「わかんなかったからもう一回」
「えー!?」
「ほら、早く」


もう一度目を閉じる蒼永。
ほんとにまつ毛長くて綺麗な顔してるな…と思いながら顔を近づけ、ゆっくりと唇を重ねる。

今回は3秒数えてから離した…!


「これならどう!?」
「わかんなかった」


いや絶対嘘じゃん…。


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