心霊現象 研究同好会
9 お化けトンネル


【 如月 裕翔side 】


………

……




オリエンテーション合宿の騒動、そして桜井先輩と諏訪の二人だけのお出かけから更に多くの時間が流れた。

約束してた通りに二人で食事に行った。 という話は、桜井先輩と二人で作業してた時に教えてもらっている。

とても楽しい時間で、凄く幸せな時間だった、と。

でも最後は辛そうな顔をさせてしまった、と。


……先輩は、諏訪に自分の気持ちを伝えて振られてしまったらしい。

今後は今まで通り「良い仲間」として過ごしていく。 とのことだ。

現に先輩と諏訪は、「良い仲間」として接している。


先輩は他のメンバーと話す時と同じように諏訪と話すし、声をかけられた諏訪もいつも通りにノリツッコミを入れたりしながら話す。

まさに「良い仲間」だ。

まぁ、先輩は時折 愛おしそうに諏訪の背中を見つめるし、諏訪はどこか切なそうな顔で先輩の背中を見つめているけどね。


お互い、相手にバレないように視線を送っている。

二人のそんな様子に気づいているのは、俺…と、桜井先輩から直接 事情を聞いたらしい神代先輩。

あとのメンバーは、なんとなくの変化は感じているだろうけど、具体的にソレが何かはわかっていない…と思う。

でも「聞かない方がいいんだろうな」という思いは全員が持っている気がする。

だからみんな何も聞かず、いつも通りに会話を続けていた。


で、そんなこんなで。

とくに大きな変化もなく、日にちだけが過ぎていき……もう七月だ。


六月に行われた中間テストを無事に乗り切り、今は夏休み前の少し気の抜ける時期…だったんだけど……、



「……うわぁ、雰囲気ヤベェ……」



……七月の最初の土曜日。

今日 俺たち同好会メンバーは、県内某所にある「お化けトンネル」に来ていた。


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