心霊現象 研究同好会
そのあと俺は、桜井先輩へと視線を向けた。
先輩は、今は一人だ。
みんなから少し離れた場所に居て、デジカメでトンネルの入口の写真を撮っているみたい。
そこに近づき、静かに声をかける。
「先輩、お疲れ様です」
「ちょうどよかった、如月そこに立って」
「え?」
「そこらへん。 で、カメラ目線でピースして」
「あ、はい」
言われるがまま、トンネルをバックにピースサイン。
桜井先輩は真剣な顔で何枚も何枚も写真を撮っている。
……普段は騒ぎまくってるのに、やっぱりちゃんと「ジェイド」なんだなぁ。
なんてことを思ってる時に、次の班…透と蒼葉と住吉が出発の準備を始めた。
左側に透、真ん中に住吉、右側が蒼葉だ。
三人ともそれなりに怖さは感じてるはずだけど、大きく表情を変えることなくトンネルへと入っていった。
「裕翔くん」
ふと、桜井先輩が俺の名前を呼ぶ。
名前で呼ばれるのは、先輩が体調を崩してぶっ倒れた日以来だ。
「実はこの前、智樹先輩から連絡があってね。 合宿所の池で亡くなってた女性は、二股デキ婚クソ野郎の…失礼、元・彼氏さんのところへ行ったらしいよ。 まぁ、「智樹先輩が“連れて行った”」って言った方が正しいんだけどね」
「……へぇ、そうなんですね」
池で亡くなっていた女性がどういう人だったかは、同好会のメンバーはもうみんな知っている。
智樹さんが施設のオーナーから聞いた話を桜井先輩に共有し、そこから同好会のメンバーへ……という流れだ。