心霊現象 研究同好会


「……ねぇ先輩。 元・彼氏は、彼女に“何か”されると思います?」

「さぁ、どうかな。 ただそばに居るだけで満足するかもしれないし、よっぽど恨んでるのなら精一杯の力を使って復讐するかもしれない。 本人だけじゃなく、奥さんや生まれた子供に“何か”をするかもしれない。 けれどそれは俺たちにはわからないことだし、今後知るすべもないことだよ」

「……まぁ、そうですよね」



生前の彼女の話は色々聞いたし、クソ野郎のことも聞いた。

でも幽霊が見える諏訪と智樹さん以外、同好会のメンバーで彼女の顔を知ってる人間は居ない。

神代先輩も幽霊が見えるけど、彼女とは会っていないし今後も会うことはないだろう。


もうこの件は俺たちの手から離れた事柄だ。

桜井先輩も「これでこの話は終わり」のつもりで言ったんだと思う。

……ていうか、それならなんで俺にだけ言ったんだ?

どうせならみんな揃ってる時に「こんな風になったらしいよ」って伝えればいいのに。



「……もしかしてこの話って、みんなには内緒だったりします?」



と、聞いてみる。

そうすると桜井先輩は、ふわりと優しい笑みを浮かべた。



「内緒ってわけじゃないけど、聞かれない限りは答えなくていいかなぁとは思ってるよ」

「えぇ……じゃあなんで俺には言ったんですか……」

「智樹先輩が言ってたんだ、「如月くんは彼女に触れてるはずだから」って。 「だから「その後」を知る権利がある」って」


「……」



誰にも言ってなかったのに、やっぱり智樹さんにはわかってたか。


うん。

俺はあの時、真っ黒な池に吸い込まれそうになってた女子を助けた時に……藻が絡みついてた遺体の一部に触れている。

というか、白骨化した手が俺の服を掴んで引っ張ったように見えたんだ。


< 292 / 300 >

この作品をシェア

pagetop