心霊現象 研究同好会


「桜井先輩……一人、ですか……?」

「うん、俺一人だよ。 迎えに来るのが遅くなってごめんなー」

「い、いえっ、迎えは全然っ……そのうち誰か来てくれるはず、って思ってたので。 でも、じゃあさっきの笑い声は……」


「ん? 笑い声?」

「……先端が出てくる少し前くらいに、トンネルの中から女性の笑い声が聞こえてたんです。 梨乃先輩かな、って思ってたんですが、違ったんですね……」

「えーっと?つまりは、幽霊さんの笑い声??」


「……だと思います。 みんなトンネルの向こう側で待ってるなら、さすがにここまで声は届かないと思うので……」



おいおい、マジか。

俺はなーんにも聞こえなかったけど、諏訪ちゃんには女性の笑い声が聞こえていたらしい。

だからトンネルから俺が出てきた時に驚いた顔だったのか。

俺が来るなんて微塵も予想してなかった、という顔ではなく、正確には「俺一人だけだったとは微塵も予想してなかった」だ。



「笑い声……って今も聞こえてる?」

「……いえ、聞こえなくなりました。 どこかへ行ったか、もしくは隠れてこっちの様子を窺ってるのかもしれません」

「そっか」



幽霊さん、俺と仲良くしませんかー?

出てきていっぱいお喋りしましょー?

と頭の中で念じてみるけれど、とくに変化はない。

というか、変化があったことなんてないんだけどね。


俺は幽霊さんのことが大好きだけど、幽霊さんは俺には滅多に近づかない。

近づいてきたとしてもすぐに去ってしまうらしい。

神代曰く、「先輩はとにかくウザい」のだとか。

いったいどこらへんがウザいのか俺自身ではよくわからないけれど、幽霊さんが来てくれないのは事実だから……やっぱりウザいのかなぁ……。


……まぁ、いいや。

幽霊さんとお近づきになれないのは残念だけど、今はなれなくていい。

だって今は、諏訪ちゃんとちゃんと向き合って話したいから。


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