邪魔者。

悲しみの全て

事件が起きたのは、ある日のこと。

大きくて重そうな消しゴムを持ったさやが決戦場にやってきた。

私たちはバトルをしている最中だった。

「ねえねえ、この消しゴムでやってみてよ」

「いいよー、てか絶対それが勝つじゃん!笑  これが終わったらやろー」

バトルが終了。

藍は1位か2位のことが多かった。

今回は誰が勝ったか。

記憶の中に無い。もう忘れてしまった。

そして、藍の消しゴムをさやの消しゴムに変えて、藍 百合 光希 合計3人の戦いが始まった。

大きくて重そうな消しゴムを持っている藍が勝つだろう。

誰もがそう思っていた。

結果。

藍は負けた。

え?大きくて重い消しゴムを持ってるのに?

はい。大きいのは事実だが、見た目に反して軽かったのだ。

そんな馬鹿な。

そう思ったさやは、「私もやりたーい」と言った

藍 百合 光希 さや の合計4人の戦い。

結果。

忘れた。

まあいいとしよう。うん。

その後、さやが私の消しゴムでやりたいと言い出した。

「いいよ」

そして始まった3回目の試合。

藍は消しゴムを取られた。

私は何でやればいいのだ?

もう試合は始まっていて、藍は立ち尽くしていた。

すると藍がいるところで消しゴムを飛ばしたいのか、光希が「どいて!」と言ってきた。

え、藍は入ってないの…?

みんな藍が入ってないかのように進めていく。

藍がどかないからか、光希がまた「ねえ!どいてよ」と言う。

すると、百合が、「ねえ、邪魔だよ」と言った。

邪魔?私が?え…?

邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔

藍の心に深く突き刺さった言葉。

「どいて!」

どいてよ邪魔どいてよ邪魔どいてよ邪魔どいてよ邪魔どいてよ邪魔どいてよ邪魔どいてよ邪魔どいてよ邪魔どいてよ邪魔どいてよ邪魔

心が沼に沈んでいく。

助けを求めるわけでもなく、ただ自然に身を任せて…

悲しかった。

辛かった。

ただ普通に泣きたかった。

友達はみんな意地悪をしたいわけじゃない。

わかってる。

傷ついてるなんて思ってない。

傷つけるために言った言葉じゃないからだ。

でも友達が知らないところで傷つく者はいる。

それに友達が気づかなかっただけだ。

泣きそうになった瞬間、藍はロッカーの前まで歩いた。

バレないようにするために、下を向いてゆっくりと歩いた。

自分のロッカーの前で、涙をこらえた。

私は泣きそうになる時、同じ動作を何度もする。

私はリボンを結んではほどいて、結んではほどいて を繰り返していた。

バレてないよね…?私のこと気にかけてる人がいるだろうか。

藍はこっそり後ろを振り返る。

消しゴム落としをしている決戦場を。

だが、誰も見てはいなかった。

私のことなど何も気にかけず、楽しそうに消しゴム落としをしていた。

やっぱり…

「キーンコーン」

チャイムがなる。

涙はもうひいていて、普通の自分に戻っていた。

でも心はどん底。

私は光希と隣の席。

そして、百合は斜め右後ろ。

さやはまあ遠い。

この距離感。

…。

何もなかったように授業を受ける藍。

かろうじて内容が耳に入る。
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