無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない

09. 翻弄されたニセモノ令嬢

 
 グレッグは私の両手をそっと包み込むと、自分の額にもっていく。彼はどうか夢を叶えてくれとすがるように、握っている私の手に力をこめた。


(まるで、私がグレッグの夢を叶える神様みたいだわ……)


「レイラ……、俺は出会った日から、君のことが好きだ」


 グレッグのあまりにまっすぐな愛の言葉に心が震える。彼の瞳から伝わる愛情は、私の悲しかった気持ちを溶かしてしまう。


「俺と結婚してほしい!」


 グレッグの目に、嘘は感じられない。それなのに彼のプロポーズを前にして、私は少しだけ怖気づいていた。あの日シャルロット様に言われた言葉が、棘のように心に刺さったままだ。ワガママだけど、芽生えてしまった不安をグレッグの言葉で塗り替えてほしい。そう思ったら、つい言葉にしてしまった。

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