無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない
「シャルロット! さっきの男は誰だ! 茂みに隠れてキスしていただろう! 俺という者がいながら……!」
わなわなと体をふるわせシャルロット嬢を糾弾する男を見て、まわりは彼女を軽蔑の目で見始める。
「わ、私、そんなこと……」
するとあちらこちらから「私も彼女が暗がりで、男性と2人でいるのを見たわ」「他の夜会でカレン嬢の婚約者とキスしていたのは、やっぱり彼女だったのね」と出てくる。思い当たることでもあるのかコソコソと帰ろうとする男もいて、会場は混乱を極めていた。
こうなってはもう無理だろう。結婚前の令嬢が男と夜を過ごしていたなど、社交界で未来はない。しかも複数の男とだなんて! 特に今の王家はそういった風紀にとても厳しい。相応の罰が家にも下るだろう。