独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
そもそも俺自身を知ろうともせず、外見や背景だけに惹かれて寄ってくる女性たちには辟易していた。

自分以外の誰かを心の底から愛し、求める気持ちなど知らなかった。



――でも、彩萌に出会った。



持ち前の前向きさ、誠実さで向き合ってくれた。

自分のほうがつらい環境なのに、気遣い寄り添おうとする。


俺を特別扱いしない、真っ直ぐな態度に、どれだけ救われただろう?


彩萌の両親に話した馴れ初めはほぼ真実だが、適当な婚約者候補がいないと話したのは嘘だ。



俺が彼女を望み、選んだから。

彩萌を知れば知るほど意外性に惹かれ、心の底から欲するようになった。

誰かに奪われたくなくて、自分だけのものにしたくて、入籍を強引に進めた。


彩萌を愛していると自覚するのに、時間はかからなかった。

彼女を抱くと心が満たされ、もっともっとと溺れた。

甘やかして、俺だけしか見えなくなればいいと本気で思った。

愛しさで胸が痛むことを初めて知った。


彩萌に好きだと告げられたときは、信じられなかった。

彼女の妊娠は言葉にならないほど嬉しく、同時に彩萌の想いに胸が詰まり、不覚にも泣きたくなったくらいだ。

俺のすべてで彩萌と子どもを守り抜くと、改めて心に誓った瞬間だった。
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