独占愛~冷酷御曹司の甘い誘惑
11.「お前は俺のすべてだ」
「彩萌!」



前に一歩足を踏み出した途端、背後からギュッと強い力で抱きしめられた。

ふわりと漂う、よく知った香水の香りと腕の感触に、泣きたくなった。

この温もりは知っている。

絶対に間違えない。



「……やっと見つけた……」



小声でつぶやき、彼が大きな息を吐いた。



「もしかして……捜してくれていたの?」



「当然だろう! 出張を切り上げて帰宅したら、お前がいなくて……」



私の問いかけの答え以外を、瑛さんが口にする。



「……出て行ったのかと思った……心配で、生きた心地がしなかった。無事なのか、ケガはしていないか不安でいっぱいだった」



私の体を反転させ、向かい合う。

普段きっちり整えられている髪は乱れ、綺麗な二重の目が心配そうに揺れていた。

矢継ぎ早に繰り出される質問に急いでうなずき、口を開く。



「大丈夫、あの、心配かけてごめんなさ……」



最後まで言い終わらないうちに、再び強く胸に抱き込まれた。

彼の鼓動は速く、香水の香りに混じって汗のにおいがする。

私の背中と、髪に触れる指が、微かに震えている気がした。



「……よかった……」



掠れた低い声に、胸の奥が疼く。

心の底から安堵したように深い息を吐く瑛さんに、申し訳なさが募る。
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