【砂の城】インド未来幻想
◆ 第二章 ◆

[接触]

 舞踊大会第一夜目は開始早々のハプニングにも(かか)わらず、皆何事もなかったように計十組が約二時間、(とどこお)りなく舞踊を終えた。

 出場した娘達は泣く者あり笑う者あり、悲喜こもごもといった様子だが、夜祭りとして仕立てられた舞台にて、再び舞妓(デーヴァダーシー)に身を移し、大会後もたおやかな舞を披露している。明日・明後日に備える少女達は仮宿舎に集められ、寝付かれない寝台の上で夜明けを待った。

 タージ=マハルを囲むように配された松明(たいまつ)の外、人々は座り込んで酒盛りを始めている。ひときわ人数の多い一団は、もちろんシャニの(もと)である。クルーラローチャナ一族の男達は旅の疲れを見せることもなく、砂の城から運んだ珍しい果実や加工品を配っては、民に現実を忘れさせ、時を忘れさせ、終わることのない(うたげ)を盛り上げていた。


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