【辛口ホームドラマ】チャーミー(平成30年台風24号災害)

【大雨特別警報発令96時間前】

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7月2日のことであった。

この日の予報は、雨で夜のはじめから翌日の未明にかけて雷を伴って非常に激しく降る…であった。

午前11時頃に大気の状態がより不安定になったと同時に、地盤の状態がより危険な状態におちいった。

午後3時を過ぎた頃であったが、山よりの地区(浅川の北よりの校区と旧越智郡の陸地部の地域)を中心に雷を伴って1時間に50〜70ミリに相当する非常に激しい雨が降り出した。

この時、豪邸《いえ》がある地区は切迫した状態におちいったようだ。

そんな中であった。

豪邸《いえ》に健一郎の実姉《あね》・塩塚真利佳《しおづかまりか》(34歳・バツイチ)がたずねてきた。

大広間のテーブルに、かおると真利佳《まりか》が座っていた。

テーブルの上には、志桜里《しおり》がいれたダージリンティーが入っている白い磁器のティーカップが並んでいた。

志桜里《しおり》は、外に干していた洗濯物をかごの中に入れたあと中に入れた。

洗濯物はぐちょ濡れになっていたので、付近にあるコインランドリーで洗い直すことにした。

そんな中であった。

真利佳《まりか》は、ものすごくあつかましい声でかおるに言うた。

「おくさま!!」
「なんでしょうか…」
「なんで健一郎はここで暮らすようになったのですか!?」
「なんでって…」
「それは健一郎の意思で始めたのですか!?」
「えっ?」
「おくさま!!」

真利佳《まりか》は、あちらこちらをキョロキョロとしていたかおるを怒鳴りつけた。

「おくさま!!へら見しないでうちの話を聞いてください!!」

かおるは、ものすごく困った声で真利佳《まりか》に言うた。

「ごめんなさい…ちょっと…外に干していた洗濯物をお手伝いさんが取り込んでくれたかどうかが気になって…」
「洗濯物はどーでもいいからうちの話を聞いてください!!」

まりかは、ものすごくあつかましい声でかおるに言うた。

「もう一度おたずねしますが、健一郎がここで暮らし始めたのは健一郎の意思で決めたのですか!?…それとも、奥さまが強引にここへ移したのですか!?」
「だから、健ちゃんがここで暮らしたいと言うたからうちは了承したのよ。」
「それでは、奥さまのご家族のみなさまは了承なされたのですか!?」
「しました…ご家族のみなさまも了承してますよ。」

かおるは、真利佳《まりか》に対してテキトーに言うてごまかした。

真利佳《まりか》は『そうですか…』と怒りを込めながらかおるに言うた。

それから20秒後に、真利佳《まりか》はものすごく怒った声でかおるに言うた。

「健一郎の意思でおたくに申し出たと言うことはよく分かりました…健一郎が自立したい気持ちはよく分かりましたが、うちとしては健一郎がおたくで暮らすことは猛反対です!!」

思い切りブチ切れた真利佳《まりか》は、手提げバッグの中から一枚のパンフレットを出してテーブルの上に置いた。

それから数秒後に、真利佳《まりか》は怒りを込めてかおるに言うた。

「これ、健一郎に渡してください!!」
「このパンフレットは?」
「自衛隊の入隊案内です!!」
「自衛隊…」
「健一郎が自立したいと言うたので、きょう市役所へ行って(入隊の)手続きを取りました。」
「入隊の手続きを取った…」
「試験の日は、もうすぐ決まりますと言うてください。」
「お姉さま、それだったら…」
「うちはおんまく怒っているのよ!!」
「分かってます…ですが…」
「奥さま!!男子の入隊制限は32歳なんですよ!!それまでに入隊させないと健一郎がダメになるのですよ!!」
「おねえさまがおっしゃることはよく分かりますが、健ちゃんと1対1で話し合った方が…」
「話し合いなんかできないわよ!!」

真利佳《まりか》は、よりし烈な声で叫んだあとものすごく泣きそう声でかおるに言うた。

「健一郎がちいちゃい時から今までの間におくさま方の家にお世話になったのはよく分かりますが、少しは自重《じちょう》していただけますか!?」
「ジチョウって…」
「辞書ひらいて、【自重】と言う字を調べてください!!」
「おねえさま…」
「なんでしょうか!?」
「少しは落ち着かれた方がよろしいのでは…」
「うちはものすごくあせっているのよ!!…健一郎が自立したいと言うから、うちは知ってる人に頼んで陸上自衛隊《ジエータイ》に入隊のお願いをしたのよ!!自衛隊《ジエータイ》に入隊《はいった》ら健一郎は自立できるのよ!!お金が貯まるのよ!!仕事に必要な資格を取りたいと申し出たら取らせてくれるのよ!!運転免許証も摂らせてもらえるのよ!!除隊後の再就職先も選んでくれるのよ!!ギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャー!!」

真利佳《まりか》がギャーギャーと叫び声をあげたので、かおるは『お引取りください!!』と言うて真利佳《まりか》に帰るように言うた。

(ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!ドスーン!!ドザーーーーーーーーーーー!!ドザーーーーーーーーーーーーー!!ドザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!)

夕方5時過ぎであった。

この時、雷を伴って1時間に100ミリ前後の猛烈な雨が降った。

同時に、今治市に土砂災害警戒情報・愛媛県に記録的短時間大雨情報が発表された。

その頃、志桜里《しおり》は北日吉町のセブンイレブンの敷地内にあるコインランドリーにいた。

非常に激しい雨でぐちょ濡れになった洗濯物が洗い終わるのを待っていた志桜里《しおり》は、ものすごく不安な表情で外の様子を見ていた。

この時、旧道に沿って流れている浅川の水がまもなくあふれるおそれが出た。

海禅寺橋《かいぜんじばし》からマルマストリグ(建材屋)付近の交差点までの間の道路で川の水が少しずつあふれ出した。

特に、浅川の北より(近見校区より)の地区では水がたくさんあふれていたどころがあった。

志桜里《しおり》がいるコインランドリーの近くにある茶堂橋《ちゃどうばし》が水浸しになって渡れなくなった。

同時に、道路の片側に水があふれ出た。

(ゴォー!!)

この時、小さい地鳴りが響いた。

山方町《やまかたちょう》にある土石流危険渓流《どせきりゅうきけんけいりゅう》になっている場所から響いたと思う。

志桜里《しおり》は、ものすごくおたついた様子であたりを見渡した。

【つづく】
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