【辛口ホームドラマ】チャーミー(平成30年台風24号災害)

【甘やかされて育った健一郎】

時は流れて…

4月29日の午前11時頃であった。

ところ変わって、今治市大新田《しないおおしんでん》にある市営球場《スタジアム》にて…

この日は、市内にある6つの高校による野球の親善試合が催されていた。

昭久《あきひさ》は、ひとりぼっちで球場《ここ》の三塁側の席に座っていた。

三塁側の席は、私立高校《メートク》の全校生徒たちが座っていた。

昭久《あきひさ》は、沢の鶴の1・5合のワンカップの酒をのみながら野球観戦《かんせん》していた。

そんな中で、ブラスバンド部による演奏が始まった。

同時に、昭久《あきひさ》の表情が曇《くも》った。

曇《くも》った表情を浮かべている昭久《あきひさ》は、怒りながらつぶやいた。

あつこがいないブラスバンド部はイヤだ…

あつこがクラリネットを吹いている姿が見たい…

てつやもてつやで、ガッコーに行かずにフラフラしている…

いつになったら、ガッコーに行くのだ…

あつことてつやは…

わしのたったひとつの楽しみをぶち壊した…

わしは…

あつことてつやを…

一生許さない…

ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ…

昭久《あきひさ》は、ブツブツとつぶやきながらのみかけのワンカップ酒を一気にのみほした。

その後、間をおかずに2本目をあけた。

そしてまた、ごくごくと一気にのみほした。

さて、その頃であった。

またところ変わって、今治市宮下町《しないみやしたちょう》にある豪邸《いえ》にて…

家の大広間には、かおると健一郎がいた。

ふたりは、お茶をのみながら楽しくお話をしていた。

この時間、トメはどこかへでかけていた…

志桜里《しおり》は、買い出しに行っていた…

昭久《あきひさ》とあつこと竜史《たつし》も家に不在であった…

テーブルには、志桜里《しおり》がいれた番茶が入っている砥部焼きの湯のみが置かれていた。

かおるは、やさしい声で健一郎に言うた。

「健ちゃん。」
「はい?」
「健ちゃんが好みのタイプはどんなコかなぁ?」
「(コンワクした声で)えっ?」
「急にこんなことを聞いてごめんね…うちは、健ちゃんはどういったタイプの女性《ひと》をお嫁さんにしたいのか…と聞いてみただけよ。」
「(コンワクした声で)どういったタイプの女性《ひと》と言われてもぉ〜」

健一郎は、ものすごく困った声でかおるに言うた。

そんな時であった。

てつやが大広間の前を通りかかったので、かおるはやさしく声をかけた。

「てつや、健ちゃんが遊びに来ているわよ。」

かおるはてつやにやさしく声をかけたが、てつやは無愛想な表情を浮かべていた。

かおるは、困った声でてつやに言うた。

「てつや、健ちゃんはてつやのことを心配して来てくださったのよ…」

健一郎は、てつやに対して過度にやさしい声で言うた。

「てつやさん、明日は楽しい合宿訓練《がっしゅく》があるんだよ…みんなで淡路島(の国立青年の家)に行くんだよ…準備はできているかな?」

健一郎がやさしく言うているのに、てつやは健一郎をするどい目つきでにらみつけていた。

それでも健一郎は、てつやに対して過度にやさしい声で言うた。

「てつやさん、明日から4日間は楽しい合宿訓練《がっしゅく》だよ…ハンゴウスイハンでカレー作ったり、キャンプファイヤーなどがあるんだよ…」

かおるは、困った声でてつやに言うた。

「てつや、ガッコーに行ったら楽しいよって健ちゃんは言うてるのよ…健ちゃんは…」

はぐいたらしいんだよオドレは…

健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん健ちゃん…

ふざけるな!!

てつやは、するどい目つきでかおると健一郎をイカクしたあと家から出ていった。

「てつや待ちなさい!!なんで健ちゃんをするどい目つきでにらむのよ!!健ちゃんはなんの落ち度もないのよ!!」

(バーン!!)

ブチ切れたてつやは、玄関のドアをバーンとしめた。

ドアをバーンとしめた音が家中に響いた。

かおるは、オタオタした様子であたりをみわたした。

健一郎は、両手で耳をふさいだ状態でおびえていた。

なんで健ちゃんにひどいことをするのよ…

健ちゃんは、てつやが楽しくコーコーに行けるようにと思って親切にしているのよ…

それなのに、健ちゃんに暴力をふるうなんて…

あんまりだわ…

時は、午後3時半頃であった。

またところ変わって、イオンモール今治新都市の中にあるイオンスタイルにて…

志桜里《しおり》は、夕飯の買い出しを終えたあと店内にあるパン屋のサロン席にいた。

志桜里《しおり》は、102円のブレンドコーヒーをのみながら休憩していた。

志桜里《しおり》が座っている席の横には、食材がぎっしりと詰まっているエコバッグを積んだカートが置かれていた。

志桜里《しおり》がお茶をのみながら休憩していた時であった。

志桜里《しおり》のもとに、近所で暮らしている奥さまがやって来た。

奥さまは、志桜里《しおり》に対してめんどい声で言うた。

「ちょっとかまん?」
「あっ、ご近所の奥さま。」
「あんたは、神谷《こうのたに》の豪邸《おやしき》のお手伝いさん?」
「はい。」
「(すごんだ声で言う)やとい主はだれ!?」
「やとい主は、奥さま(トメ)ですが…」

奥さまは、すごんだ声で志桜里《しおり》を攻撃した。

「あんた!!」
「なんでしょうか?」
「神谷《こうのたに》の豪邸《おやしき》に30代前半の男性客《きゃく》がたずねて来たけど、どこの家の子息《ぼっちゃま》よ!?」
「その方は、お嫁さん(かおる)の娘さん(あつこ)のお友だちですが…」

奥さまは、志桜里《しおり》に対して怒った声で『あっそうですか!!』と言うた。

奥さまから攻撃された志桜里《しおり》は、心配げな声で奥さまに言うた。

「あの〜」
「なんでしょうか!?」
「奥さまは、健一郎さんに対してご不満があるのでしょうか?」
「(ものすごく怒った声で言う)ええあるわよ!!雑賀《さいか》の家の健一郎《バカぼっちゃま》のせいでみーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんながメーワクしているのよ!!」

志桜里《しおり》は、ものすごく困った声で奥さまに言うた。

「奥さま、健一郎さんが地区《みんな》にメーワクをかけたと言うコンキョはなんでしょうか…健一郎さんのおとーさまは愛媛県警《けんけい》の警察官、おかーさまは県病院の看護婦さんで県民《みなさま》のために尽くして来たのよ…健一郎さんが幸せになるために身を粉《こ》にして…」
「そんな話は信用できんわよ…そう言えるコンキョがないのにえらそうに言わないでよ!!」

奥さまからバトウされた志桜里《しおり》は、泣きそうな表情を浮かべた。

奥さまは、志桜里《しおり》に対してよりツウレツなイヤミを言うた。

「あのね、さっきスタバの前で広江さんの奥さまと会ったわよ…その時にちょいと小耳にはさんだ話だけど…」
「小耳にはさんだ話し?」
「あのね…広江さん方のお向いの新宮原《しんぐうばら》さんの子息《むすこ》さんが…高地町《こうちちょう》の山林でシッソウしたわよ。」

奥さまからことの次第を聞いた志桜里《しおり》は、顔が真っ青になった。

シッソウ…

新宮原《しんぐうばら》さん方の子息《むすこ》さんがシッソウした…

志桜里《しおり》は、奥さまに対してこう言うた。

「あの〜…新宮原《しんぐうばら》さんの子息《むすこ》さんは、なんでシッソウしたのですか?」

奥さまは、志桜里《しおり》に対して決めつけ声で言うた。

「シッソウした原因はすぐに分かるわよ…雑賀《さいか》の子息《バカぼっちゃま》に原因があるのよ…」

志桜里《しおり》は、泣きそうな声で奥さまに言うた。

「だからどうして健一郎さんに原因があると言うのですか!?」

奥さまは、えらそうな声で『コンキョがあるから言うたのよ。』と言うたあと、あることないことをペラペラとしゃべりまくった。

「雑賀《さいか》の子息《バカぼっちゃま》は、人のコネを使って私立高校《メートク》に行ったのよ…私立高校《メートク》から短大《メータン》までラクチンラクチンラクチン…広島の工業大学に編入も人のコネで行った…そんなラクチンばかりしよったけん子息《バカぼっちゃま》はだめになったのよ…私立高校《メートク》にいた時によぉけ悪いことしていたと聞いたわよ…子息《バカぼっちゃま》がシューバンさぼったことが原因で後ろの生徒がシューバンしなくなった…お昼のべんとうの時、人のお弁当を食べさせてもらう…食べさせてもらった人に『遊びに行っていい?』と強要するなど悪いことをした…お友だちの家に入りびたりになって、プレステ遊びに夢中になったあと、泊まり込んだ…それなのに、雑賀《さいか》のご夫婦は知らん顔よ…ご主人が愛媛県警《けんけい》のリッパな警察官と言うけど、署内《おくない》で万年備品係り…どこがリッパかしら…奥さまは県病院の看護婦と言うけどホンマかしらね…雑賀《さいか》の家の親類もダメ人間ばかりだからいかんねぇ〜だから健一郎は子息《バカぼっちゃま》になったのよ…オーーーーーーーーーーーーッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッ〜」

奥さまは、よりツウレツな高飛車嗤《タカビーわら》いを志桜里《しおり》に浴びせた。

志桜里《しおり》は、ワーッと泣きながら店内から出ていった。

志桜里《しおり》は、この時食材がぎっしりと詰まっているエコバッグを忘れていたことに気がついていなかった。

時は、夕方6時半頃であった。

またところ変わって、今治市宮下町《しないみやしたちょう》の豪邸《いえ》の大広間にて…

テーブルの上には、重松飯店(大正町にあるラーメン屋さん)の特製のやきぶたたまごめしのセットが並んでいた。

家の大広間には、トメとかおると健一郎と志桜里《しおり》の4人がいた。

昭久《あきひさ》とあつことてつやと竜史《たつし》の4人は、家にいなかった。

予定していた夕飯《メニュー》は、志桜里《しおり》がイオンスタイルに食材を置き去りにして帰ったことが原因で出前《てんやもの》のやきぶたたまごめしに変更された。

トメは、ものすごく怒った声で志桜里《しおり》に言うた。

「あんたええかげんにしいよ!!あんたがまたイオンスタイルに食材を置き去りにしたことが原因でまた出前《てんやもの》のやきぶたたまごめしに変更されたのよ!!あんたこの最近、勤務態度《たいど》が悪いみたいね!!」

志桜里《しおり》は、ものすごく泣きそうな声で『ごめんなさい〜』とトメに言うた。

トメは、ものすごく怒った声で言うた。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…あんたは『ごめんなさい…』と言うたらこらえてくれると思っているみたいね!!」

たまりかねたかおるは、ものすごく困った声でトメに言うた。

「義母《おかあ》さま、やめてください…そんなにボロクソに言うたら志桜里《しおり》さんがイシュクするわよ。」

トメは、ものすごく怒った声で言うた。

「はぐいたらしい嫁ね!!ボロクソに言いたくなるわよ!!」
「義母《おかあ》さま!!」
「なんやねんあんたは!!」
「健ちゃんがいる前でガーガーガーガーおらばないでください!!」
「やかましいクソナマイキな嫁ね!!」
「あんたこそはぐいたらしいババァね!!」

端で聞いていた健一郎がものすごく泣きそうな表情でかおるに言うた。

「ぼく…家に帰ります…」

かおるは、おどろいた声で健一郎に言うた。

「どうして帰るの?」

健一郎は、女々しい声でかおるに言うた。

「おかーさんが晩ごはんまでに帰りなさいと言うたから帰ります。」

かおるにわけを話した健一郎は、メソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソ…と泣いた。

かおるは、過度にやさしい声で健一郎に言うた。

「あのね健ちゃん…さっきおかーさんから電話があってね…『1時間前に救急車で搬送された患者さんの容態《ようだい》が急変したので帰ることができなくなったから、うちで夕飯《ばんごはん》をお願いします…』と言うてたよ。」

健一郎は、女々しい声で『ほんとうですか?』とかおるに言うた。

かおるは、過度にやさしい声で『ほんとうよ。』と健一郎に言うた。

健一郎は、女々しい声で『やっぱりよくない…』と言うた。

端で聞いていたトメは、過度にやさしい声で健一郎に言うた。

「ああ、健一郎さん…おかーさんは『かまんよ。』といよんよ。」

健一郎は、女々しい声で『やっぱりよくない…』と言うたあと料理ができない自分を責めまくった。

トメとかおるは、過度にやさしい声で健一郎に言うた。

「そんなことはないわよ…ねぇ義母《おかあ》さま〜」
「そうよそうよ…むかしの人のことわざで『ダンシチュウボウに入るべからず』があったわよ…ムリに料理を学んでも失敗するだけよ。」
「健ちゃんは自分で料理すると言うけど、やけどしたり包丁でケガしたら困るのよ…それはいかんよね。」

かおるから過度にやさしい声で言われた健一郎は、つらい表情で首をたてにふった。

トメは、ものすごくやさしい声で健一郎に言うた。

「だったら、うちで食べなさい…オフロもうちで入りなさい…明日の朝ごはんもうちで食べなさい。」

かおるは、よりやさしい声で健一郎に言うた。

「健ちゃんはひとりじゃないのよ…うちら家族がいるから大丈夫よ。」

トメは、ものすごくやさしい声で健一郎に言うた。

「もういいから、ごはん食べなさい…やきぶたたまごめしが冷えるわよ。」

このあと、かおるは健一郎に対して過度にやさしく接した。

「健ちゃんごはん食べようね…お肉とたまごがたくさん入っているわよ…ごはん食べているうちにいい知恵が見つかるわよ。」

それから40秒後であった。

(ピンポーン〜)

玄関の呼鈴《ベル》が鳴ったので、志桜里《しおり》が応対に出た。

「は〜い。」

ところ変わって、玄関にて…

志桜里《しおり》は、玄関にいる人をよく確認してからドアをあけた。

(ガチャッ…)

ドアの向こうに、おとなりの家の奥さまが立っていた。

おとなりの家の奥さまは、回覧板を持っていた。

「ああ、おとなりの奥さま。」
「ああ、お手伝いさんね…回覧板を持って来ました。」
「ありがとうございます。」

おとなりの家の奥さまは、土間に置かれている健一郎のくつをちらっとみたあと、ものすごくイヤミな声で志桜里《しおり》に言うた。

「ちょいとお手伝いさん。」
「はい?」
「また雑賀《さいか》の家の子息《バカぼっちゃま》が来ているのね。」
「(ものすごく困った声で言う)奥さま、それはどういう意味ですか?」
「(ものすごくイヤミ)別に意味なんかないわよ…ちょいとお手伝いさんに話があるけどかまん?」
「えっ?ちょっと…奥さま…」

おとなりの奥さまは志桜里《しおり》の腕を強引につかんだあと、500メートル先にある露地《ろじ》へ無理やり連れて行った。

ところ変わって、家から500メートル先にある露地裏にて…

おとなりの奥さまは、志桜里《しおり》に対して変なことを言うた。

「ちょっとあんた。」
「(キョトンとした表情で)はい、なんでしょうか?」
「雑賀《さいか》の子息《バカぼっちゃま》は、いつ頃から神谷《こうのたに》の家の子になったのよ?」
「いつからって…」
「あんたは、な~んにも聞いてないの?」
「うちが神谷《おやしき》に仕えるようになったのは10年前です…それ以前のことは全く知りません。」
「そうだったわね。」

志桜里《しおり》は、ものすごく困った声でおとなりの奥さまに言うた。

「あの〜」
「(すごんだ声で)なに?」
「奥さまは、健一郎さんに対して子息《バカぼっちゃま》と言いましたね。」
「(ナマイキな声で)言うたわよ。」
「それはどういう意味ですか?」
「(ナマイキな声で)あんた知らんかったの?」
「健一郎さんは、おやさしい人なのよ。」
「(怒った声で)うそ言われん!!」
「うそじゃありません…健一郎さんはとても親切な人です…あつこさんとてつやさんの学生証を短大《メータン》に行けるようにひもづけする手続きを取るなど…あつこさんとてつやさんにやさしく接しているのですよ。」

おとなりの奥さまは、ものすごく恐ろしい声で志桜里《しおり》に言うた。

「あんたね!!だまされていることに気がつきなさいよ!!」

志桜里《しおり》は、おびえた声で『だまされているって?』と言うた。

おとなりの奥さまは、ものすごく恐ろしい声で志桜里《しおり》に言うた。

「あんたにだけ言うけど、うちは雑賀《さいか》の家に対してクレームがあるのよ!!」
「(おびえた声で)クレームって…」
「クレームの原因は、ぜーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん子息《バカぼっちゃま》にあるのよ!!」

おとなりの奥さまからことの次第を聞いた志桜里《しおり》は、思わずさけびそうになった。

ウソでしょ…

なんで健一郎さんひとりにクレームの原因があるのよ…

志桜里《しおり》は、さけびたい気持ちをおさえながらおとなりの奥さまに言うた。

「あの奥さま。」
「(恐ろしい声で)なによ!!」
「なにをコンキョにそんなことを言うのですか?」

志桜里《しおり》の問いに対して、おとなりの奥さまはナマイキな声で『あるわよ。』と答えてから志桜里《しおり》に言うた。

「そのようになった元凶は、新宮原《しんぐうばら》さん方の子息《むすこ》さんが高地町《こうちちょう》の山林でシッソウしたことにあるのよ。」
「えっ?」
「(クソナマイキな声で)あんた知らなかったの?新宮原《しんぐうばら》さんの子息《むすこ》さんは、健一郎《バカぼっちゃま》に婚約者《かのじょ》を取られたのよ…それを苦に家出したのよ。」

おとなりの奥さまからことの次第を聞いた志桜里《しおり》は、取り乱した声で言うた。

「そんな…それはなにかの間違いだと思いますが…」

おとなりの奥さまは、非常に強い恐怖を込めながら志桜里《しおり》に言うた。

「あんたはまだ分からないみたいね!!」

志桜里《しおり》は、取り乱した声でおとなりの奥さまに言うた。

「あの…奥さまは健一郎さんにどんな落ち度があると言いたいのですか?」

おとなりの奥さまは、クソナマイキな態度で志桜里《しおり》に言うた。

「落ち度があるから言うたのよ…健一郎《バカぼっちゃま》は、女に関連するもめごとをよぉけ犯していたのよ…新宮原《しんぐうばら》さん方の子息《むすこ》さんは、婚約者《かのじょ》と結婚すると決めたあとこまごまと準備していたのよ…それを健一郎《バカぼっちゃま》がいらんことしたのよ!!」
「いらんことしたって…」
「あのね…さっき行川《なめかわ》の奥さまから聞いた話だけど…先週か先々週ごろに…健一郎《バカぼっちゃま》が例の婚約者《かのじょ》と一緒に今治国際《いまこく》(ホテル)で開催されていたブライダルフェアにいたところをみたっていよった。」
「それは、ほんとうの話ですか?」
「(きっぱりと言う)ほんとうよ。」
「それはなんで?」
「(クソナマイキな声で)健一郎《バカぼっちゃま》は、例の婚約者《かのじょ》が好きなのよ…好きだから、略奪《ドロボー》したのよ。」

おとなりの奥さまからことの次第を聞いた志桜里《しおり》は、ものすごくおびえた声で『略奪《ドロボー》した…って…』と言うた。

おとなりの奥さまは、志桜里《しおり》に対して、さらにえげつないことをペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ…としゃべりまくった。

「健一郎《バカぼっちゃま》は、婚約者《かのじょ》からたのまれてかわりに行ったと言うけど、下心まるだしよ…新宮原《しんぐうばら》の家の子息《むすこさん》のピンチヒッターで行ったのはタテマエ…ホンネは、婚約者《かのじょ》のむっちりボディがほしかっただけよ…それともう一つ…行川《なめかわ》さんのムコはんから聞いた話だけど…健一郎《バカぼっちゃま》が新宮原《しんぐうばら》さんの子息《むすこさん》の婚約者《かのじょ》を連れて…(衣干の)ヤマダ電機の付近にあるラブボに出入りしていたのを見たといよったよ。」
「(おびえた声で)ら…ラブボ…」
「そうよ…」
「そんなのウソよ…」
「あんたは、健一郎《バカぼっちゃま》にだまされていることがまだ分からないの!?」
「奥さま…もうやめてください!!」
「まだあるわよ!!」
「もうやめてください!!」
「分かったわ…それじゃあここでやめておくわ…だけど最後にもうひとついわしてもらうわよ…あのね…また行川《なめかわ》さんの奥さまから聞いた話だけど…雑賀《さいか》の奥さまが今治駅《えき》のバス乗り場にある電話ボックスから神谷《おたく》にウソの電話をかけていたところを聞いたといよったよ。」
「ウソの電話って?」
「雑賀《さいか》の奥さまは、神谷《おたく》に急患《きゅうよう》と電話でウソを言うたあと、足早に松山市駅《しえき》行きの特急バスに乗り込んだみたいよ…その後、どこへ行ったと思う?」
「どこって?」
「(耳もとでささやく)ホ・ス・ト…」
「ホスト?」
「そうよ…雑賀《さいか》の奥さまね…数年前から(松山市)二番町《にばんちょう》のホストクラブに通い始めたのよ…それがもとで県病院を勝手に休むようになったのよ…」
「ウソでしょ…」
「ほんとうだから言うたのよ…雑賀《さいか》さんの奥さまは、この最近カネ使いがおんまく悪いみたいよ。」
「まさか…」

おとなりの奥さまは、志桜里《しおり》に対してものすごく強烈なインパクトを与えた。

「雑賀《さいか》の奥さまは…ホストクラブにのめり込んだことが原因で…お給料をよぉけ前借りしていたみたいよ…それが原因で…数年間お給料は0円よ…そのまた上に…雑賀《さいか》の奥さまは、人の家に行ってカネをムシンするようになったのよ…なにがリッパな看護婦さんかしらね…ご主人は愛媛県警《けんけい》の警察官と言うけど、万年備品係で超安月給よ…雑賀《さいか》のご主人もご主人で人のカネをドロボーしよる…極悪人《ごくあくにん》と交友関係があると言ううわさがある…なにがリッパな警察官よ…おんまくふざけてるわよ…あ〜あ、もうや~めた…」

おとなりの奥さまは、志桜里《しおり》に対して、言いたいことをペラペラとしゃべりまくったあと、志桜里《しおり》に恐ろしい声で言うた。

「あんた…きょううちが話したことは人には言われんよ。」
「言いませんけど…」

おとなりの奥さまは、志桜里《しおり》に抱きついたあとより激しいキスでくちびるをおさえつけた。

そして…

「イヤ…」

おとなりの奥さまは、志桜里《しおり》を倒したあとスカートの中からショーツを脱がした。

「やめて…」

志桜里《しおり》は、おとなりの奥さまに身体を押さえつけられていたので身動きができなかった。

おとなりの奥さまからシツヨウに犯された志桜里《しおり》は、グチョグチョに汚れた。

志桜里《しおり》は、おとなりの奥さまから『しゃべったら恐ろしい目に遭うわよ!!』と凄まれたと同時に、よりし烈な恐怖をうえつけられた。

こわい…

おんまくこわい…

一体どういうことよ…

おとなりの奥さまは、なにを考えているのかしら…

もしかしたら…

健一郎さんのご両親を強請《ゆす》るつもりかもしれない…

こわい…

こわい…

こわい…

……………
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