1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜
「亜由美」

警察署で事情聴取を受けた後、さっくりとした説明をラインで送ったら、即電話が鳴り警察署で待つことになった。

案外平気だと思っていたのに竜基さんの顔を見たら涙が溢れた。

竜基さんの車で付き添ってくれていた京子をマンションに送り届けると車内は二人だけになると何があったのかを説明した。

異変に気がついた学生のグループが近くで講義をしていた先生に伝えすぐに警察が呼ばれ、最初は同意があったとか言っていたが男が撮っていた動画と私のペン型ボイスレコーダーが再生されると観念して、井口乃乃から乃乃本人とヤレることと報酬として10万円で依頼されたことをあっさりと白状した。

「防犯グッズが役に立ちました。昨日、竜基さんに注意されてよかった。怖かった。」

「心に傷は残るかも知れないが、それでも最悪な事態にならなくてよかった」

「はい」

本当のシンデレラだったらこんな時どうなっただろう?護衛騎士が助けてくれる?

「男の人って急所を蹴られるとそんなに痛いの?」

「そうだな、ちょっとした衝撃でも痛いかある程度力が入っていたら地獄かもな、息が出来なくなる」

ふとあの二人を思い出した。

一人はフルキックだったし、もう一人は踵は刺さってないけど渾身の振り下ろしだった。

「証拠もあるし、未遂でも罪に問うことができる。事件にするにしろ、示談にするにせよ俺がついているし、弁護士を頼んであるから」

「偽の恋人なのにこんなに色々としてくれてありがとう」

一拍置いてから「亜由美は大切な恋人だから」と答えてから何も話さなくなったから私も何も言わず車窓を流れる街並みをみていた。

夜はベッドの中で抱きしめていてくれた。

こんな風にされたら、ずっと一緒にいられるんじゃないかって勘違いをしそう。
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