1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜
来週、大いなるミンションを抱えて帰省するまではいつもの日常を過ごすことになる。

目が覚めると隣には竜基さんが居て、朝食を一緒に食べて竜基さんを見送った。
今日は1限は取っていないからゆっくりと出かける。

明後日は秋田に帰る。
アルバイトが忙しいからと年末年始に4日くらい帰ったくらいだ。
その時も、行動には気をつけていた。
もう大丈夫だと思っても、心についた傷は思った以上に深いのかもしれない。


乃乃に嫌がらせを受けていた女子達と講義室とかで話すようになって今更ながらキャンパスライフが楽しくなっている。遅めのデビューって感じだ。
そして、よくわからないが相変わらず佐藤隆が声をかけてくるけど、以前のように無視をするのはやめて話はしている。

京子は午後からの授業が一緒なのでいつものようにファミレスに向かおうとしていると佐藤隆に呼び止められた。

「京子ちゃんと合流するんだろ」

えーーーー!“ちゃん”付け

「そうだけど、勝手に連れて行ったりしたら京子が嫌がるんじゃないかな」

軽く断ろうとしたのに、佐藤隆はおもむろにスマホを操作し始めた。

「大丈夫だって」
そう言いながら目の前にラインの画面を表示すると、佐藤隆が京子に宛てて一緒に合流する的なコメントに対して『亜由美がOKなら』と言う返事が届いている。

てか、京子と佐藤隆はID交換してるわけ?
若干混乱をしていると私のスマホに京子からのお知らせが届いた。

『隆もいい?』

た・か・し?
どうなってるの?

佐藤隆を見ると謎の笑みを湛えている。

「京子とはどうなってるの?」

「友達」

軽っ!
いや、もしかして。
この人ヤリ友がどうとか言ってだけど、京子をそんな風にしてないよね?

私の表情で何かを察したのか佐藤隆が慌てて

「単なる友達だから。健全なやつ」

京子がそんな相手をするとは思えないけど、この人からは下心がダダ漏れしていて信用できないが、ランチに関しては京子なら嫌なら嫌と言うし、私に聞いてくる段階でOKだということだろう。

「わかった」

「絶対俺のことを警戒してるよね」

「ヤリ友とかって話を聞いたら」

「いやそれは」と結構焦っている感じを受ける。
京子のことマジなのかな?と、思いつつ正門を抜けたところで


「隆」

聞き覚えのある声が聞こえた。
< 75 / 88 >

この作品をシェア

pagetop