Cherry Blossoms〜白銀の女神〜

「ねえ、もうすぐ任務で会えなくなっちゃうから、あなたの温もりをくれない？」

豊満な胸を女性はわざとイエティに押し付ける。イエティは口元だけ笑みを浮かべ、女性を抱き寄せた。

「仰せのままに」

「嬉しい」

女性がイエティに顔を近付け、そのまま二人の唇が重なってしまう直前、「おい！」と男性の一人が怒鳴り付けた。

「こんなところでおっ始める気か？俺たちがいるんだぞ？」

男性がそう言うと、女性は舌打ちをしながらイエティから離れる。イエティは「ごめんね〜」とニコニコと笑いながら言った後、続ける。

「とりあえず、任務の内容はさっき言った通りだよ。このCerberusの恐ろしさを虫けらたちに教えてやってね？」

その笑顔はどこか仄暗く、冷たいものだった。



本田凌（ほんだりょう）という偽名を使い、医師として榎本総合病院で医師として潜入をしている公安警察の九条桜士（くじょうおうし）は、息をゆっくりと吐く。白く染まった息が一瞬にして消えていった。