成瀬課長はヒミツにしたい
「柊馬さんが、普段見せない笑顔を社内で見せちゃったもんだから、私なんて今日一日、ずーっと問い詰められっぱなしでしたよ」

「なんだ、そんな事か」

「そんな事って!」

 真理子がぷいと横を向くと、成瀬はほっとした顔をして、背もたれに背中を預ける。


「柊馬さん。なんで会社では、いつもぶすーっとした顔してるんですか? ここでは、こーんなに表情豊かで人間的なのに!」

 真理子はわざと意地悪くそう言うと、身を乗り出して成瀬の顔を覗き込んだ。

「お前なぁ。まるで会社じゃ、俺はロボットみたいな言い方だな」

 成瀬は肘をついた手に顎を乗せると、反対の手を伸ばして真理子の鼻をキュッと掴んだ。

 その途端、真理子が椅子の上で飛び跳ねる。


「きゃ! もう、柊馬さんったら」

 真理子は頬を真っ赤にさせながら、慌てて身体を逸らすと成瀬が掴んだ鼻を隠した。

 その時、あははという明るい笑い声が聞こえリビングを見ると、乃菜がテレビアニメを見ながら楽しそうに笑っている。
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