成瀬課長はヒミツにしたい

見つけた証拠

 成瀬について足早に駅まで行くと、そのまま来た電車に飛び乗った。

 いくつか路線を変え、ローカル線に乗り換える。

 たどり着いた駅は、だだっ広い田園風景の広がるのどかな街だった。


 真理子は初めて降り立った味わいのある駅舎を振り返ると、口をあんぐりと開けて見とれてしまう。

「おい! こっちだ」

 すると耳元で成瀬の声が聞こえ、ビクッと背筋を正した。


 成瀬は何度も来たことがあるのか、慣れた様子でタクシー乗り場に向かう。

 そこからタクシーに揺られること20分。

 奥に広い敷地が見える門の前で、車を降りた。

 何台もの車が並んでいる駐車場を抜け、大きな鉄の扉の前に立つと、奥から機械の音が鳴り響いている。


「ここって……」

 真理子は次第に高鳴っていく胸をぎゅっと押さえ、中を覗き込んだ。

 作業着姿の人たちが行き来するこの工場は、サワイライトの自社工場だった。
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