成瀬課長はヒミツにしたい

~番外編~ それぞれのメリークリスマス

 真理子はホールケーキの箱を、目の前に掲げるとにんまりとほほ笑む。

「乃菜ちゃんのリクエストは、サンタクロースがのってる、イチゴのショートケーキだったよね」

 乃菜の喜ぶ顔を想像しながら、真理子は軽い足取りでエレベーターに乗った。


 インターホンを押すとすぐに、勢いよくドアが開いた。

「まりこちゃーん。メリークリスマス」

 乃菜は三角のパーティ用の帽子をかぶり、満面の笑みで出迎えてくれた。

 服装もばっちりサンタクロースの衣装でキメている。

「乃菜ちゃん。似合ってる! かわいいじゃない」

 真理子の声に、乃菜は少し照れた顔をすると、嬉しそうに大きくうなずいた。


「リクエストのケーキ買ってきたよ。はい、どうぞ」

 真理子がケーキを差し出すと、乃菜の目がキラキラと輝く。

「わぁ。ありがとう!!」

 乃菜は宝物のように、ケーキの箱を大事そうに抱えるとキッチンに向かった。
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