成瀬課長はヒミツにしたい
「社長直々の指示らしくって、部署を越えてのチーム編成らしいですよ。やっぱ、うちの人事部は意外と見てるって話、本当だったんですねぇ」
卓也は、チームメンバーに入ったことに上機嫌な様子だ。
他の社員とともに、楽しそうにフロアに戻っていった。
真理子は人がいなくなった掲示板の前で、もう一度文字を目で追った。
チームリーダーの成瀬の他に、真理子と卓也、そして通販部や販売管理部から数名の名前があがっている。
確かにこれなら、成瀬と社内で話す機会も増えるだろう。
「ってか。完全に、職権乱用じゃない」
そう小さくつぶやいた時、隣に人の気配を感じて真理子はビクッと肩を震わせた。
「な、成瀬課長……?」
静かに立つ成瀬の姿に、真理子は思わず後ずさりする。
「職権乱用? そうでもないですよ。あなたの事は、ちゃんと評価してますから。《《真理子さん》》」
成瀬は眼鏡をくっと押さえると、ほんの少しだけ口元を緩ませ、何事もなかったかのようにその場を後にした。
――きぃぃー。やっぱりずるい!
真理子は、赤くなった頬をパンパンと両手でたたくと、肩を怒らせながらフロアに戻って行った。
卓也は、チームメンバーに入ったことに上機嫌な様子だ。
他の社員とともに、楽しそうにフロアに戻っていった。
真理子は人がいなくなった掲示板の前で、もう一度文字を目で追った。
チームリーダーの成瀬の他に、真理子と卓也、そして通販部や販売管理部から数名の名前があがっている。
確かにこれなら、成瀬と社内で話す機会も増えるだろう。
「ってか。完全に、職権乱用じゃない」
そう小さくつぶやいた時、隣に人の気配を感じて真理子はビクッと肩を震わせた。
「な、成瀬課長……?」
静かに立つ成瀬の姿に、真理子は思わず後ずさりする。
「職権乱用? そうでもないですよ。あなたの事は、ちゃんと評価してますから。《《真理子さん》》」
成瀬は眼鏡をくっと押さえると、ほんの少しだけ口元を緩ませ、何事もなかったかのようにその場を後にした。
――きぃぃー。やっぱりずるい!
真理子は、赤くなった頬をパンパンと両手でたたくと、肩を怒らせながらフロアに戻って行った。