成瀬課長はヒミツにしたい
「じゃあ、行こうかな」

 真理子が返事をしたのと同時に、乃菜は「やったー」と叫ぶと、椅子の上からジャンプして真理子に抱きついた。

 真理子は思わずよろけて、危うく転びそうになる。


「おい! 危ないだろ」

 成瀬は乃菜をたしなめつつも、なんだか嬉しそうだ。

 真理子は、最近さらに重くなった乃菜を抱っこしながら、キッチンに立つ成瀬の側に寄る。


「ねえ、とうたん。おべんとうは、サンドイッチと、とうたん《《とくせい》》のカラアゲがいい!」

 ウキウキと声を出す乃菜に、真理子は首を傾げた。

「柊馬さん特製の、唐揚げ?」

「うん! すっごくおいしいの!」

 乃菜は真理子の腕から飛び降りると、成瀬の隣で大きく手を広げて、どれほど美味しいかを全身で表現している。

 成瀬は、あははと声を出して笑った。

「じゃあ、久しぶりに作るかぁ。成瀬家秘伝の漬け込み唐揚げ」

 成瀬はにんまりと口元を引き上げると、乃菜の頭を優しく撫でる。
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