成瀬課長はヒミツにしたい
 ――父さんも、孤独だったのかな……。


 ふとそんな考えが頭に浮かび、慌てて首を振った。

 すると、その様子を見ていた小宮山が、再び大袈裟に手を叩く。


「そうそう社長。来週末、急遽パーティに参加していただくことになったので、スケジュールに入れておきますね」

「パーティ?」

「はい。身内のパーティなので、気軽なものです。また詳細は、後日お伝えします」

 首を傾げる明彦に、小宮山は畳みかけるように声を出す。


「あと、次の役員会議の日程ですが……上層部の方々のスケジュールがうまく合わず、再来週以降で調整中です」

「再来週?! そろそろ電飾玩具撤退後の工場の再編も視野に、話を進めないといけないんだよ。もう少し早められないの?」

「ちょっと難しいですね」

 明彦は目を細めると、訝しげに小宮山を見つめた。

 普段だったら小宮山は、明彦の希望を最優先するはずだ。

 それが今日の小宮山は頑として譲らない姿勢がうかがえる。


「わかった……。もういいよ」

 明彦は三度目のため息をつくと、軽く手を上げながら顔を背けた。
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