再会した幼馴染みは犬ではなく狼でした
 今日は明日のために、久しぶりに服を買いたくなった。
 仕事帰りに駅ビルのお気に入りの店へ。
 可愛い服を着て明日は会いたいと思うくらい、私にとって彼は特別なんだと認識する。

 春らしい薄い黄緑色のワンピースにした。七分丈のバルーン袖。襟元は少し広めだけどレースが刺繍されていて、上品に見える。
 大人になった私を見て欲しい。そんな気持ちがこの服に込められている。

 物件探しだと歩き回るかもしれないから、白いかわいいスニーカーと合わせてもいいかも。
 いつの間にか鼻歌歌いながら歩く自分にびっくりする。

 恋する女の子の気持ちになるのはなんと5年ぶりなんだなと思う。化石になりそうだよね。カスミじゃないけど、ちょっと間が開きすぎたのは分かっている。でも一度失敗すると臆病になる。年頃だと言うのも手伝って。結婚もしたいし。姉の幸せそうな姿を見ると憧れるのはしょうがないことだと思う。

 完璧なコーディネートを頭で浮かべながら、家路につく。
 亮ちゃん今頃飲まされて大丈夫かな?営業部の飲み会ってやばいらしい。男の人が飲みの主導権を握っているからだろうな。
 
 総務、人事なんて店選びの段階から女の子が主導権握ってる。デザートの美味しい店はマストだし。カクテルが出ることもマスト。
 料理がうまいこともマストなのよね。なーんて。
 私はやっぱり総務部でよかったなってことなのよね。

 早々に食事をしてシャワーを浴び、パックまでして早めに寝る。
 明日は晴れますように。
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