再会した幼馴染みは犬ではなく狼でした
 
 エレベーターが開いて、チノパンを履いた綿シャツの亮ちゃんが出てきた。
 かっこいいー。周りの女性も皆見ている。

 昔より、精悍な顔になった。男らしいっていうのかな?
 高校生の時の亮ちゃんもかっこいいんだけど、髪型も今のほうが刈り上げが入ってさっぱりしてる。

 きょろきょろした亮ちゃんは、私を見つけてにっこりと笑い向かってきた。
 うわー、周りの人が私を見てるよー。

 「おはよう、雫。朝からありがとう。」
 「おはよ、亮ちゃん。昨日のお酒は抜けました?」

 「ああ、久しぶりに飲まされた。でも、今日のことを考えて、うまくスルーした。アメリカも酒は飲まされるからな、かなり強くはなったよ。」
 「そうなんだ。お酒飲む亮ちゃんか。見たことないし。」

 「それを言うなら、俺だよ。雫が酒飲んでるなんて、心配だ。お前、飲むとどうなるんだ?」
 「えー、それはわかりません。」

 「まさか、記憶がないとか言うなよ。」
 「そこまでは、あまりないです。」

 「あまり?否定しないのか。危なすぎるな。そんな格好で飲みに行くなよ。男と……。」
 亮ちゃんの顔を見上げて表情を見た。
 心配そうにこちらを見てる。

 「……でも、誰かとお付き合いしないと、結婚できないし。」
 「結婚したいのか?」

 「……いずれはね。お姉ちゃん、幸せそうだし。私もしたいな。」
 何も答えない、亮ちゃん。

 
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