再会した幼馴染みは犬ではなく狼でした
 
 ……驚いた。新田さん、亮ちゃんに連絡したんだ。
 「脅された。というか、宣戦布告された。あいつらしいよな。無断で動くことはしないとかっこよく言われたよ。雫の状態を知らないとするともう権利はないと言われた。」
 「……心配してくださって、お食事に連れ出されたの。あまり食べられなくなってたから、顔色悪いって。たまたま会ったら。」
 
 「……俺は本当にダメだな。でも雫を渡すわけには行かない。雫、父さんに会ってくれないか。交際していること話したいんだ。」
 亮ちゃんの顔を見る。本気なんだね。
 
 「父さんに、今週末時間をもらうつもりだ。父さんは今俺のマンションにいる。」
 「それはかまわないけど、原田さんには私のこと話してないの?」
 
 「話してない。言うと何するか分からないんだ。結構嫉妬深い。大学の時も面倒起こしたくらい。」
 ……なるほどね。だから、本人はあんなに幸せそうに貴方の横でいつも笑っているのか。安心してるんだね。
 
 「……。」
 「雫?」
 
 「わかった。とにかく、お父様に会ってからだね。私もお父様のことはお顔も覚えてなかったの。久しぶりすぎて。」
 「それはそうだろう。あっちだって同じだよ。雫綺麗になったし、子供の頃のイメージしかないだろう。父さんも老けたしな。」

 「雫?」
 ぼんやりする私を見て、心配そうにする亮ちゃん。
 
 「大丈夫か?また、熱あるんじゃないだろうな?」おでこに手を当てる。
 「うん。ごめん、もう帰るね。早く休みたい。」
 
 「わかった。ごめんな。ご両親にもよろしくな。」
 「うん。」
 そう言うと、亮ちゃんは最後にもう一度私を抱きしめて、頭を撫でると解放してくれた。
 
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