再会した幼馴染みは犬ではなく狼でした

「雫。病院一緒に行こう。私の通院している産婦人科紹介するよ。嬉しいな、子供が同級生かな?あ、ギリギリ無理かな。雫何ヶ月だろう?早生まれになるなら、同級生かもしれない。嬉しすぎる。一緒に子育てできるし。あ、お母さん大丈夫かな?ふたりも面倒みられないよね。半年違えば大丈夫かな?疲れて倒れるかな?」

 お姉ちゃんはひとりで嬉しそうに話し出した。

 すると、突然携帯が鳴った。
 見ると、亮ちゃんだった。

 お姉ちゃんに目配せして、電話にでる。

 「雫、連絡遅くなってごめんな。今大丈夫か?」
 「うん。大丈夫だよ。」

 「もう、寝るところだったりする?」
 「え、まだ九時だよ、大丈夫。」

 「電話でもいいんだけど、出来れば顔見て話したい。ちなみに心配ないから。良い方向にまとまった。今、車でそっちに向かってる。出てこれる?車の中で話そうかと思うんだけど。」
 「わかった。準備して出るね。あとどのくらい?」

 「すぐ着いちゃうと思う。公園の前にとめてるから、ゆっくり出てきて。」
 「うん。後でね。」

 お姉ちゃんは、心配そうにこちらを見た。
 「会うの?これから?」

 「うん。車で会う。公園のとこにもうすぐ着くらしい。」

 「わかった。でもキチンと報告すること。雫が言えないなら私が言う。これだけは譲れない。大事な妹を妊娠させておいて、結婚してもいないなんて、蹴り倒さないと許せない。お父さんならどうなるだろうね?」
 恐ろしい顔をして言う。

 「お姉ちゃん、ありがとう。キチンと報告します。いつまで居るの?」
 「明日帰ろうと思っていたけど、雫一緒に病院行こう。明日会社休める?」

 「多分大丈夫だと思う。体調悪いのみんな知ってるから。」
 「よし。じゃ、お母さんには報告するね。心配だな。お父さんに黙っててくれるかな。」

 「お姉ちゃん、お願い。お父さんに知られたら押さえてくれる?」
 「……しょうがないなあ。とりあえず、亮ちゃんのはなし聞いてからだな。暖かくして行きなよ。お母さんには言っておくから、そのまま玄関から出て行っていいよ。」

 「ほんとにありがと。」
 女兄弟でよかった。優しいお姉ちゃんで良かった。お母さんにも感謝。
 
 
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