再会した幼馴染みは犬ではなく狼でした
 「祖父母が年老いてマンションへ引っ越すときに、前の家も一緒に処分したんだ。だから俺、今はホテル暮らしだけど、マンション探してる。」
 「そうなの。大変だね。」

 「良かったら、一緒に探してよ。まだこちらのこと詳しくないし。8年ぶりなんだ日本。」
 「いいよ。でも土日とかでも大丈夫なの?」

 「ああ、今週どちらか時間あれば付き合ってよ。」
 「いいよ、日曜の夕方に美容院の予約が入ってるけど、それだけだから予定。」

 「……雫、今付き合っている人いないの?」
 「ふふ、週末予定ないからばれたか。」

 「いや、雫モテるだろ。さっきも営業の奴らに囲まれてたな。これだけ可愛かったら付き合ってないなんて、大変だろ。」
 どういう意味?亮ちゃんを見上げてじっと見つめる。

 「……亮ちゃんこそ、結婚はしてないの?指輪ないもんね。」
 「ああ、俺もフリーだ。」
 びっくりした。

 「……なんだ?」
 「ううん、それは驚き。昔からモテまくりの亮ちゃん。さっきも新田さんがすごいモテると言ってたし。」
 しかめっ面をした亮ちゃんは、私を見つめて言った。

 「雫。時間ないから週末会おう。携帯アプリ交換して、番号連絡くれ。」
 お互い、携帯を出して番号を入れる。メールアプリも入れて完璧。
 その場はそこで別れた。
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