最後の詰みが甘すぎる。
「れ、廉璽くん!!ふ、ふざけないでくれるかなあ……?離してよ……!!」
作り笑いを浮かべながら腕を振り解こうとしたがビクともしなかった。
「柚歩」
切なげな吐息が首筋にあたり、ビクンと身体が震えた。
「俺は師匠の仏壇に線香あげるためだけにこの家に通ってるわけじゃない」
廉璽は茶化して誤魔化そうとした柚歩の退路を容赦なく塞いだ。
「意味……わかるか?」
わかるに決まっている。廉璽とずっと将棋を指してきたのだから。一手、また一手と廉璽との対話を深めていた柚歩には彼の言わんとしていることがよくわかった。
柚歩は後ろを振り返り、廉璽と対峙した。
こういう時、どんな顔をすればいいのだろう。誰か教えて欲しい。
逃げられないように首の後ろに手を添えられ、頬にかかる髪が払われた。廉璽の顔が傾けられ、唇が近づいていく。
「ん……」
重ね合わされた唇の温かさがこれが夢ではないことを教えてくれる。
柚歩にとってはファーストキスだった。
しかし、ファーストキスの余韻を感じる間もなく、口づけは徐々に深まっていく。
食べられてしまいそうなほどに甘噛みを繰り返され、初心者の柚歩はぷはっと大きく息継ぎをした。