郡くんと甘いビターチョコレート



「ん?どうした?」



女の子に返す声は私が知っている温かい声で、誰にでも変わらない優しさが好きだなあって改めて思ったり。


声を聞いてるだけなのに、柔らかく笑って女の子と向き合ってるんだってことがわかる。……、わかってしまう。


好きだなあと思うと同時、郡くんの優しさやあったかさが私だけに向けられたものではないんだと改めて実感させられて少し胸がちくっと痛む。

痛む権利、私にはないのに。




「真白くん、チョコレート甘いのが好きか苦いのが好きか聞きたくって!」



さっきと同じくらい高い声、顔を見なくたってわかる。チョコレートが甘いとか苦いとか。



冬。2月。そんなことを聞く理由は一つしかないし、弾んできらめく声色は誰が聞いても恋する乙女のものだ。

乙女なんて柄でもないけど私と同じだ、あの女の子は私と同じように郡くんに恋してるんだ。





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