開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その3


”ざわわ、ざわわ、ざわわ…”

夜の西風がさらに強くなる中、くびれ柳上部の鬱蒼とした枝葉はまるで生き物のようにざわめいていた。
二人の動作を見下ろしながら…。

「ナムソカナンザラ、ハマラニハラマ…」

二人はピッチを上げ、最後の儀式を急いだ。

”じゃぼ、じゃぼ…”

国上と和田による清め周りは、最初の時より倍近くのスピードで3周を終えた。


***


「終わりです、和田さん。さあ、急いで片づけましょう!」

「はい」

この時、和田が腕時計を確認してみると、8時28分だった。

”上等だ。あとは周囲に気付かれず退散すればいい…”

二人は持ち込んだものの置き忘れがないか、慎重に何度も確認した後、くびれ柳を後にして、校門まで走った。
布袋に納めた”収穫物”二つは、国上がしっかりと抱えて…。


***


「先生!」

「おお、手島、近所は大丈夫だな?」

「ええ、でも、急いでください」

「よし。じゃあ、まず道具類だ」

和田と国上は手際よく、門の間から、スコップや搬入物を外に押し出した。

「さあ、和田さん、外に早く!」

「ええ」

和田と国上ははやる気持ちを押さえて、周囲をきょろきょろと見回しながら、校門の外に飛びおりた。

「よし!手島、荷物を手分けして退散だ!」

3人は疾風の如くK高校をから車に駆けて行った。





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