開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その2


「はは…、鷹山さんや私は”仕事”だから、この関連からはこの後も逃げません。なので、鬼島との”続編”はありかもしれない。ただ、あなたと奈緒子さんは学校の先生ですからね」

「まあ、確かにそうですわ、はは…」

「もしも、お二人の身近の生徒さんでまたってことなら、再度タッグを組ませてもらえればありがたいが…(苦笑)。それ以外での再発は、もうあなた方の範疇外という立場でいいと思いますがね…」

「ありがとうございます。奈緒子さんとも今回を総括して、自分らの線引きはしっかりさせます。なにしろ、三浦美咲をヤツに渡さなかった…。これで、決着としますよ」

ここで和田は気持ちの整理がついた。
一応は…。


***


その後、和田は午前11時半には国上と一緒に三浦家を出て、帰路に着いた。
帰りの車中…、鷹山からスマホに電話が入った。

「…アライブでは、三浦さんに了解をいただけましたので、今回の事案は匿名でさわりだけですがアップします。その上で、くびれ柳とういう呪いの媒介地は、その効力を喪失したと発信していきますよ」

「それで、まだ呪いに輪に組み込まれた人間が出たとしたら、鬼島の仕掛けはまだゲームオーバーじゃなかったことになりますね」

「そうですね。…鬼島の残した文面からすると、ヤツは”この先”を用意してると思えてならない。でも和田さん…、それはこっち次第の状況ってことで、鬼島自身、とりたてて死ぬ前にはこれ以上の仕掛け・仕込みはしていないのかもしれないともね…」

「鷹山さん…、それって…」


***


「彼の捉えるゲームってのは、各ステージで求めているような気もするんです。そして、そのネクスト・ステージを創り出すのは、我々人間の方であると…」

ここで二人は電話での会話は終わった。

”鬼島の野郎…、人間界を相手にとってゲームを挑んでいるってのか…。自分の仕掛けた呪いのシステムに、人間自体がその次なるステージを生むことを読み込んで…”

鬼島則人との対決を終えた和田は、その深意の底知れなさに思いを馳せながらハンドルを握っていた。






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