開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その2


和田は間を置かずに、3人に向かってさらに続けた。
それは一気に…。

「その友人は丸島友也と言って、彼のお嬢さんが、この手嶋の今赴任している高校の同僚です。…名前は野坂奈緒子さんですが、彼女も、”そのこと”を承知されています」

三浦家3人は皆、きょとんとした目で和田と手嶋の顔を往復させている…。

「丸島は自分が受け取った手紙類や記録の資料一と共に、奈緒子さんと私に残しました。こんなふざけた手紙で呪いをばらまく、理不尽極まる連鎖を断ちきって欲しいとの願いを込めて…」

ここで和田は、”開けずの手紙”と”百夜殺し”に付随する概ねについて、手嶋を含めたこの場の全員へ手短に説明した。
その間、4人は神妙と険しい表情を交互させながら、黙って聞いていた。


***


「…という訳で、すでに去年から連携を取っている研究機関と霊能力者の方には、この手紙をお預かりして、今夜中に届けます。即刻、この血のりに封を開けさせない措置をとってもらいます。まずは開封しないことで、呪いの発効が留められますので。それで、ご承諾願えますか?」

「ええ…、それはもう…。あなた、それに美咲もいいわよね?」

真っ先に答えたのは美咲の母親だったが、これに美咲自身も大きく頷き、それを確認した父親が背筋を質してこう言葉を発した。

「和田さん、手嶋先生…、よろしくお願いいたします。娘を何とか救ってやって下さい」

父が二人に頭を下げると、妻と娘もそれに続いた…。
それを受けて、和田と手嶋の二人も…。

”何としてもこの少女は守り抜く!あの世に行った丸島の為にも…”

和田は唇を噛みしめ、そう心に誓うのだった…。






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