開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その2



二人がアライブのオフィスが入った雑居ビルに着いたのは、夜8時近かった。

「雨が強くなって来たな…。奈緒子さん、こっちです」

「はい…」

車から降りた二人は、小走りして雑居ビルに飛びこんた。


***


「ああ、和田さん…、遅くにわざわざすいません。さあ、どうぞ。国上さんはもう来てますから」

「はい、失礼します。…鷹山さん、こちらが丸島友也の娘さんですよ。今日は一緒に回ってもらいました」

和田は事務所内に入ったあと、まずは鷹山に奈緒子を紹介した。

「野坂奈緒子です。…その節は、父の件で大変お世話になりまして…」

「鷹山です。よく来てくれましたね、奈緒子さん。…お父さんのことでは、私共の力不足でした。残念です」

奈緒子は”ううん”といった素振りで、首を横に振っていた。

「とにかく今日はお二人ともご苦労様でした。奥へ行きましょう…」

かくて、志を一にした4人による”作戦会議”という名のナイト・ミーティングは始まった…。


***


こ和田と奈緒子はオフィスの応接に通され、先に到着していた霊能力者の国上とも挨拶を交わした後、4人は応接のテーブルに向かい合った。

そして、さっそく和田は鬼島の母から受け取った”ブツ”を国上の正面に置いた。

「これが、鬼島則人の残したものなんですね?」

「はい…」

国上はその封筒を一旦手に取り、両面をひと通り確認すると、再びテーブルに戻した。
そして、右の掌を広げて封筒の上からかざし、ゆっくりと若干上下させる動作を繰り返した。


***


「どうですか、国上さん?」

「…」

国上は十秒ほどして右手を封筒から遠ざけ、一度肩で大きく息継ぎをした後、口を開いた。

「とても重い気を帯びていますね…。何とも重い…」

国上の左横に掛けている鷹山は、歴戦の霊能力者の表情から、この遺物の主が、かつてない”難敵”であると咄嗟に見取れたようだった。






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