【8/1 番外編 追加!】隠れ御曹司の愛に絡めとられて

ずっと一緒にいたいから


――翌朝。

何かが顔に触れる気配で、徐々に覚醒されていく。

……え、なに?

まだ全然頭が回らなくて、そう言えば昔よく犬のメープルが私の顔を舐めて起こしてくれてたな、なんて懐かしく思い出す。


「……ん」


けれどもいま私の顔に触れているそれは、もっとサラリとした感触で……。


「おはよ、亜矢さん」

「……」

「朝だよ?」

「う、ん……?」

「ふふっ、朝から可愛いー」

「……」


……いや、あのね?

朝から可愛いのは、カエデくん、あなたなのですけど……?


そう口にしそうになるのを我慢して、私はのそりと起き上がる。

どうやら私の顔に触れていた〝何か〟は、カエデくんの手だったらしく……。

私の額や頬を撫でたり、鼻をツンツンと突いたり。

好き勝手に私の顔を弄んでくれたようで……。


「……カエデくん」

「うん?」

「私の顔は、オモチャじゃないんだけど」

「うん」

「……いや、あのね?」

「亜矢さん。朝ご飯、出来てるよ?」

「誤魔化さないで」

「ふふ、ごめん。だって亜矢さんが可愛いんだもん」

「……もうっ」


〝可愛い〟と言われただけであっさりと許してしまうのは、私なんかよりカエデくんの方がずっと可愛いからだ。

彼の可愛さにすっかりやられてしまっている私は、彼がふわふわと笑うだけでうっかり色んな事を許してしまう。

それにしても、どこからどう見れば私なんかのことが可愛く見えるんだろうか。

彼の思考回路はナゾばかりだ。

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