【8/1 番外編 追加!】隠れ御曹司の愛に絡めとられて

番外編

<番外編【楓の完璧な計略】>


「――お願いしたいことがあるんだけど」


高校時代の親友のひとりに、僕はそう話を切り出した。

彼とは今でも時々会って食事をしたり遊んだりするほど仲が良い。

歳は僕のほうが一歳年上だけど、僕もおそらく彼も全く気にしていない。


何でも言い合えて何でも相談できる関係だからこそ、彼にこの切実な頼み事をしたのだ。

彼は全てを聞いた上で「分かった、お前の頼みなら」と快く引き受けてくれた。

やはり持つべきものは友だ。

全てを周到に用意してその日を待つ。

彼の根回しも完璧で、さすがは僕の親友だ。



――セッティングしてもらった合コンへ、僕は遅れて顔を出す。

全てが予定通り。

何もかもが、僕の計画通りだ。


そんなことを知らない目の前の美しい女性が、ほろ酔いでにこにこと微笑みかけてくる。

焦る気持ちを隠して、僕も彼女に微笑み返す。


想い続けてはいたものの、まさかここでこんな機会が巡ってくるとは思ってもみなかった。

チャンスは逃さない。

こんな好機は一度きりと心得る。

じわじわと、でも決して逃げられないように、慎重にことを運ぶ。

この計画を知っているのは親友ひとりきり。

僕の長い恋煩いを知っている彼は、全てを上手く作り上げてくれた。

彼の仕事は完璧だ、ちゃんと彼女をここまで連れてきてくれた。

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